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パレスチナ

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パレスチナ自治区の多くの住民が直接的な暴力や孤立、移動の制限を受け、医療ケアへのアクセスが困難な状況にある。このような生活環境は多くの住民に心理面で影響を及ぼし、うつ、不安、PTSD(心的外傷後ストレス障害)、心身症が発症している。国境なき医師団(MSF)は、心理ケアおよび医療ケア、社会福祉関連における援助を提供している。

2005年半ば、MSFはイスラエル政府によるガザ地区のイスラエル人入植地の撤去計画によって起こり得る事態に備えて、約8千人の入植者が8月に撤退する際に先立ち緊急プログラムを準備した。結果として、大規模な衝突は起きることなく撤退は実施された。

2005年、MSFはガザ地区内の特に恵まれない地域、ハンユニス近隣のトゥファにあるアルファラ塔地域で大規模な水・衛生プログラムを開始した。MSFは地元自治体と協力して疥癬(かいせん)撲滅プログラムを実施し、ロジスティシャンは水漏れする屋内の配管の修理、浄化槽の建設、食糧キットやマットレス、毛布などの日用品の配布を行った。

2005年を通じて、MSFは西岸地区のナブルス市で活動し、患者のニーズに対応するための多様なネットワークを作り上げた。これらの取り組みを通じて、人口約15万のこの都市でMSFはよく知られた存在となった。

ナブルスに住むMSFの患者のうち、3つの難民キャンプで生活しているのは約35%で、大部分は旧市街に住んでいる。ここでのプログラムのうち医療面での活動は、MSFの心理療法士の活動を支援することを目的としている。また社会・経済的支援を受けられるよう患者を専門機関に紹介するソーシャルワーカーも重要な役割を果たしている。

ヘブロンでは、MSFの患者の約70%が過去1年間に心的外傷の残るような体験をしている。心理療法士、ソーシャルワーカー、医師からなるMSFチームが、在宅治療や個人・家族に対する支援を行っている。また、西岸地区南部に暮らすベドウィンや、移動制限によりほとんど医療を受けることができない地域の住民を定期的に訪問することで、医療ケアへのアクセスを改善する取り組みを行っている。

2006年1月の議会選挙でイスラム原理主義組織「ハマス」が政権を握ったことで、アメリカ、カナダ、EU、日本はパレスチナ暫定自治政府に対する二国間経済援助を一時停止する決定をしたが、援助資金の一部を国連やパレスチナで活動する他の国際援助団体に振り分けることでこれからも住民の基本的なニーズを満たすことができるようにすると約束した。2006年4月13日、MSFはこの計画を公式に非難した。

MSFは、資金援助の一時停止は政府が下した決定であるとはいえ、住民全体に影響を及ぼしかねない報復的な措置を目立たぬようにするために人道援助団体を利用することはあってはならないと強く訴えた。またMSFは、人道援助団体はパレスチナ暫定自治政府の代わりとして機能するだけの能力、資金力、責任を持たないとも指摘した。さらに、ジュネーブ条約で定められているように占領地域の住民たちの基本的ニーズを満たすのはイスラエルの責任であるとも述べた。このようにNGOを政治の手段として利用することや役割や責任の混同はNGOの独立性を脅かし、すでに不安定な状況の中で暮らす人びとをさらなる危険にさらしかねないとMSFは危惧した。

MSFは1988年からパレスチナで活動を行っている。