アルメニア
外国人派遣スタッフ 25人
現地スタッフ 120人

ソビエト連邦崩壊後のアルメニアでは、不十分な保健医療体制の下で結核に感染する人の数が徐々に増加している。薬剤耐性結核の治療は複雑であるため、現行の医療体制ではこの治療を行っていない。治療は長期間を要し費用がかかる上に、深刻な副作用を引き起こす上に、治療に必要な医薬品は容易には手に入らない。
2005年9月、国境なき医師団(MSF)は、アルメニア保健省および市当局と協力して、エレバンで試験的な結核治療プログラムを立ち上げ、マラシア=セバスチアおよびシェンガヴィットの2地区で患者の治療を開始した。2006年5月までに、通常の結核患者65人および多剤耐性結核(MDR-TB)患者25人が治療を受けていた。MSFは、入院患者のいるエレバンの結核病棟2ヵ所を改修した。最長1年間の集中治療段階が終わると、その後の数ヵ月にわたって喀痰の検査施設、直接監視下療法(DOT)室、検査室などの結核管理システムにより引き続き患者の治療を行う。アボビアンにある国立結核病院の薬剤耐性結核専用病棟も現在改修中である。
性感染症対策
アルメニア北西部のシラク地方では、MSFは性感染症の治療・予防プログラムを行っている。MSFは6ヵ所の地域総合病院で活動を行い、プライバシーを保護しながら性感染症検査および治療を行うことに焦点を当てており、すべての人が無料でケアを受けることができる。性感染症およびHIV/エイズに関する啓発・教育活動がこのプログラムの重要課題である。MSFは、性感染症の治療に向けた国の治療方針を整備するよう、保健省に積極的に働きかけている。主な目的は、抗レトロウイルス(ARV)薬をアルメニアの必須医薬品リストに加えて、輸入できるようにすることである。このプログラムを発足して以来、MSFは5千件以上の性感染症およびHIVの診療を行った。
精神疾患の新しい治療法
アルメニアでは、これまで精神疾患患者は精神科に入院させる措置を多くの場合でとってきた。また、精神健康上の問題は強い差別の対象となってきた。MSFは2004年より、代替的治療を提供する試みの一環として、外来による心理ケアサービスを支援し、発展させている。
MSFは、貧窮にあえぐゲガルクニク地方で、精神疾患に対する多角的なアプローチに重点を置いたプログラムを展開した。2005年6月から2006年5月までの間に、6488件の精神科診察、434件の心理的診察、および1724件のソーシャルワーカーによる活動が行われた。精神疾患につきまとう汚名の問題に取り組み解決するための大々的な情報提供や教育もこのプログラムの一環である。精神疾患患者にさまざまな治療活動や技術ワークショップを提供するデイケア・センターは現在、現地のパートナー団体「ミッション・アルメニア」に引き継いでおり、またMSFは2006年末までに、心理ケアプログラムを保健省に引き継ぐ予定である。
MSFはまた、Kharchaghbyur、チャンバラク、バルデニス、Geghamasar、Daprabakの各都市の不安定な医療体制を立て直すことで、ゲガルクニク地方における基礎医療の提供を支援している。また、地域スタッフを指導し、医療器具を提供している。2005年6月から2006年5月までの間に、MSFが監督する医師により1万4292件の一次診療が行われた。この1年間で、海外からの資金援助や保健医療体制のための基金が飛躍的に増加したため、MSFは2006年末までにゲガルクニク地方への医療援助を段階的に終了する。
MSFは1988年からアルメニアで活動を行っている。














