コンゴ民主共和国
外国人派遣スタッフ 207人
現地スタッフ 1933人

コンゴ民主共和国(DRC)では、国内全土で数百万人の人びとが危機的状況の中で生活を続けており、医療事情は依然として深刻な状況にある。2005年に国境なき医師団(MSF)がコンゴ各地で行った5件の調査により、通常緊急事態とされる数値の2倍以上という異常なまでに高い死亡率や、国民の大半にとって医療を提供する場がない、あるいは受けられない状態にあることが示された。
イトゥリ地方のみならず北キブ州、南キブ州、カタンガ州の東部各州においても戦闘の影響は続いており、数万人の住民が避難している。多くは避難生活を送るのに十分な避難所、水、医療ケア、食糧もなく茂みなどで生活しており、治安の悪さに脅える状況が続いている。避難先の村で住民の世話になっている人や、避難民キャンプで生活している人たちもいる。このように暴力が続く状況を背景に、2006年、DRCでは40年ぶりに民主的な大統領選挙および国会議員選挙が行われた。
カタンガ州
2005年後半、民兵組織とコンゴ政府軍(FARDC)間の武力衝突が拡大し、カタンガ州北部では、再び数千人の住民が家を追われた。
1996年に内戦が始まってから、カタンガ州中央部と北部の住民の多くにとって、混乱と避難は日常茶飯事になっている。暴力的な状況がもたらすものの一つが栄養失調である。武装勢力に襲われるのを恐れて土地を耕さなくなるためである。
2005年11月、ドゥビエという小さな町には、わずか数週間で1万8千人を超す避難民が押し寄せた。すでに簡易病院と5ヵ所の診療所をつなぐネットワークは稼動していたが、MSFは即座に緊急避難キャンプを3ヵ所設置した。MSFは、1月の最初の3週間で1224件の診察を行い、大規模なはしかの集団予防接種を開始した。
2006年初め、避難民からの緊急ニーズに対応し、MSFは、カタンガ州の中央に位置するウペンバ湖周辺で援助プログラムを開始した。避難民は湖岸や藁で作った小屋、浮島などで悲惨な生活をしているため、MSFは診療所を開設し、はしかの集団予防接種を開始し、避難民の世帯にプラスチックシート、毛布、調理器具などを配布した。ウペンバとキコンジャ周辺の地域ではコレラも流行していたため、MSFは緊急援助プログラムを立ち上げて20週間で1742人のコレラ患者を治療した。
MSFは、ニュンズ、プウェト、ミトゥワバ、シャムワナ、アンコロ、ムクブでも活動した。ここでは、避難民と住民に一次医療・二次医療を提供し、感染症の流行と避難から生じた緊急事態に対応した。
北キブ州
DRC東部に位置し、ルワンダとウガンダに国境を接する北キブ州では、FARDCや国連軍のみならずいくつもの国内外の民兵組織間で武力衝突が繰り広げられている。貧しく無給の兵士だけでなく、民兵組織も一般市民に大きな苦痛を与えている。一般市民はほぼ毎日略奪、金品の強奪、性的暴力や他の暴力にさらされている。ルチュルにある病院で2005年に行った毎月の外科処置のうち26%は、紛争に関連した外傷によるものであった。2005年にMSFがベニ、カイナ、ルチュルで治療した性的暴力による被害者は1292人であった。
2006年初めにはルチュル周辺の少なくとも4万人が家を追われ、カニャバヨンガ、カイナ、キルンバの村々に避難してきた。茂みで生活をしている人びとも多く、暴力や略奪にさらされている。MSFは、最も避難民が多いカニャバヨンガに診療所を2ヵ所開設した。MSFチームは、ルチュルとカイナの診療所での活動も続けており、医療ケアと外科措置を行っている。また、カイナでは栄養治療センターも運営している。
イトゥリ地方
イトゥリ地域の首都ブニアでは、MSFは引き続きボン・マルシェ病院を運営している。この病院は、性的暴力の被害者にケアを行う部門を含む総合病院である。2003年4月から2005年12月の間に、生後8ヵ月から80才までの患者4500人以上を治療した。また、2006年6月にブニアの北数百キロのレティーで肺ペストの症例が確認されたため、MSFは臨床治療と流行の監視を開始した。クワンドロマとヴェドザで隔離診療施設を設置し、376人の患者を治療した。
HIV/エイズ治療、性感染症治療
HIV/エイズは、MSFがDRCで焦点を当てている活動の一つである。南キブ州ブカヴでは、MSFは、抗レトロウイルス(ARV)薬治療をはじめ、カウンセリング、検査、日和見感染症治療などの総合的なHIV/エイズ治療を提供している。2006年末までに1500人にARV治療を行うことが目標である。2005年6月と2006年5月には、DRC北東部の町キサンガニにカリブ診療所を2ヵ所開設し、毎月合計3千件の診察を行っている。医療ケアだけでなく、性感染症やHIVの感染の仕方と予防法や、性的暴力に関する問題など、健康に関する教育も対象を絞って行っている。
キンシャサで約1900人にARV治療を行う長期のプログラムにくわえて、2005年7月には東部州のドゥングで新たなHIV/エイズ治療プログラムを開始した。MSFは内戦中に破壊された病院の修復に続いて、必須医薬品の提供やコンゴ人スタッフの指導を開始した。スタッフの指導は致死率の高いアフリカ睡眠病の治療にも焦点を当てており、MSFは同州のイサンギでアフリカ睡眠病を別個に治療している。
緊急事態への対処
DRCではたびたび暴力が発生するほか、病気も流行しており、MSFのチームは優れた対応力により短期間で、しばしば大規模に対応することが求められる。対応を容易にするためにコンゴ緊急対応部を4都市に設置している。MSFは2005年から2006年にかけて各地で大規模な緊急援助を行った。キクウィットでは腸チフスの発生にいち早く対処し、ムブジマイでは5才未満児38万人を対象にはしかの予防接種を行った。
MSFは1981年からDRCで活動を行っている。
※MSFは1994年にコンゴ緊急対応部を設立し、突如の事態に迅速に対応して援助を行える体制を整えた。
現在、緊急対応部はキンシャサ、キサンガニ、ルブンバシ、ムバンダカを拠点に活動している。














