マラリア

国境なき医師団(MSF)は1985年以降、アフリカ、アジア、中南米でマラリア患者への治療プログラムを展開してきました。現在は、世界中で150万人以上のマラリア患者を治療しています。早くからACT(アルテミシニン誘導体と抗マラリア薬の併用療法)を提唱しており、東南アジアに続き、2001年にはアフリカでの使用を実現しました。

これまでの活動では多くの問題に直面してきました。特に交通の不便な地域では、マラリアの診療を効果的に行うことが困難です。

必須医薬品キャンペーンでは、感染の有無を簡単・迅速に確認する簡易検査の普及や、重症マラリアの治療をより効果的なものへと切り替える活動に取り組んでいます。

診断

マラリアの症状には、熱、頭痛、吐き気、筋肉の痛みなどがあり、別の病気の症状と区別することが難しいため、誤診もしばしば起こります。MSFは、医療体制の整備が遅れている地域でも使用できる良質・正確・迅速なマラリア検査法を採用しています。しかし、まだ十分に広まっているとは言えません。

治療

世界保健機関(WHO)は、中国の生薬から抽出された「アルテミシニン誘導体」を使ったACTを奨励しています。ACTは既存薬よりはるかに効果が高く、副作用も少ない治療法です。また、薬剤耐性ができにくいことで知られています。

重症マラリア:より多くの命を救うために改良された治療

年間約800万人のマラリア患者が合併症を発症し、重症マラリアへと悪化します。また、年間80万人が重症マラリアで命を落としています。特に危険なのは子どもです。WHOは、アジアとアフリカでの臨床試験に基づき、重症マラリアの子どもたちの治療ガイドラインを、既存のキニーネからアルテミシニン系のアーテスネート治療薬へと変更しました。

研究開発:より簡易で手に入れやすい治療の開発

ACTによるマラリア治療の“壁”は、既存薬と比べて価格が高いことでした。しかし、MSFなどが共同で設立した研究機関「顧みられない病気のための新薬イニシアティブ(DNDi)」により、ASAQやASMQと呼ばれる2種混合のACT錠剤が安価で供給されるようになり、状況は改善しています。