チャド:平穏を取り戻す首都、隣国カメルーンの難民は不安定な状況が続く
情報発信日 2008年02月18日
戦闘が終わって1週間が過ぎ、チャドの首都ンジャメナでは徐々に平穏な日常が戻りつつある。町の中心部では多くの商店が今も閉店したままであるが、通りは再び人びとで溢れ始めている。市内にある病院においても、最も危機的な状況は過ぎ去った。戦闘が最も激しかった時期とその後の数日間、閉鎖せずに活動を続けていたわずかな数の病院は、殺到する多数の負傷者に対応することを余儀なくされた。現在、病院職員の大半が職務に復帰しており、医療活動は再開されている。現在の主な懸念は、隣国のカメルーンとチャド東部に暮らす避難民の状況である。ンジャメナには多くの住民が戻ってきているものの、まだ戻る決心がつきかねている数千世帯の家族が、国境に近接した地域で不安定な状況の中、避難生活を続けている。
2月2日にンジャメナで起きた戦闘により、死者270人以上、負傷者約千人という多数の犠牲者が出た。国境なき医師団(MSF)は、ワリア地区にあるボン・サマリタン病院において1週間のうちに負傷者110人以上を治療した。砲弾の破片を浴びた6才の女の子の父親、アーメッド・Kは、その時の様子を振り返る。「私は義母の家に向かっていました。その時、砲弾が建物に命中したのです。家に入ると、3人の遺体がありました。怪我人も3人いました。私の娘と他の子ども2人です。そのうちひとりは腕が切断されていました。一番近くにある診療所は閉まっており、総合病院も患者で満杯でした。ワリアの病院は開いていると知っていたので、通りかかったオートバイに乗っていた人を呼び止め、怪我人を病院に連れて行ってもらいました。その間に私は死者を埋葬しました。」残った家族はさらに南方の村へと避難した。Kと家族がンジャメナから避難するのはこれで4度目になる。彼は言う。「今回は最悪でした。首都で戦闘があったのは初めてのことです。誰もが支配しようとしていますが、もし住民がいなければ、一体誰を支配するというのでしょうか。」
総合病院は戦闘のさなかにあった。病院に残っていたわずかな数の医師と看護師は、殺到する負傷者250人以上への対応を余儀なくされた。MSFのチームが病院に到着したのは2月4日だった。救急医療サービスを増強するために外科医1名とともに病院入りしたMSFの麻酔科医、マインハルト・クリツィンガーはこう話した。「この病院は戦闘地域からあまりにも近すぎたため、数時間閉鎖せざるを得なかったほどでした。病院の医師たちは最も緊急の症例に対処しなければならず、患者の手術もできず、ただ止血して包帯を巻き、帰宅させることもしばしばでした。このため、最初に来た時に間に合わせの治療しか受けなかった多数の患者が再診を受けに来ているのです。」現在、病院は平常に戻っているように見える。病院職員の大半は復帰しており、医療活動も再開している。MSFは最も緊急のニーズに対応できるよう医薬品と外科器具を寄付した。また、チームは新たな戦闘の勃発に備えて備蓄を用意している最中である。
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| チャドから国境を越えて カメルーンのクセリへと向かう難民 |
戦闘を逃れた住民のうち、ある程度の人数が既に首都に戻ってきている。ンジャメナ市内では閉鎖されていた複数の病院が再開しつつある。MSFは、多数の患者が殺到する事態になっても対応できるよう、首都周辺の病院数ヵ所でスタッフと医薬品を増強することを決定した。しかし、当面の最も差し迫った援助ニーズは、多数の人びとが避難している数km先のカメルーンにある。難民の大半は前の週に体験した激しい戦闘を恐れており、自国に戻るつもりはない。難民は国境に接したクセリの町の周辺に散在している。多くの世帯は、逃げる際に持ち出すことのできたわずかな所持品を持って、樹木の下や学校に身を寄せており、水、食糧、仮の住居が不足している。
MSFは今回カメルーンで最初に援助活動を始めた団体の一つだった。国境に近接した最大の集落マダナをはじめ、難民が集まっている地区に複数の診療所を設置した。医療チームは診察の際に、下痢や呼吸器感染症、マラリアの症例を多数発見しており、そのうち重症の患者については、MSFが救急医療サービスを増強しているクセリの中央病院に移送した。外科チームは2月6日から活動しており、難民全員が無料で医療を受けられるようにしている。また、給水所を複数の場所に設置し、2月第2週には毛布、貯水容器、蚊帳、ビニールシートなどの生活必需品の配布も開始している。MSFはさらに、はしかの集団予防接種も開始する予定である。
チャド国内の他の地域、特に東部で活動しているチームは、規模を縮小しているものの、スーダン人難民と国内避難民に対する援助活動を継続している。
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